ローラン・バーンワルト(Laurent Bannwarth)-アルザスの小さな村で、畑と土壌の声に耳を傾け続ける-



フランス・アルザス地方。コルマールの南約10kmに位置する小さな村、オーバーモルシュヴィール(Obermorschwihr)。
人口数百人ほどのこの静かな村で、家族代々受け継がれてきた畑と向き合いながら、自然なワイン造りを続ける生産者がローラン・バーンワルトです。1950年代にローランとスザンヌ夫妻がドメーヌを築き、その後1987年から息子のステファン・バーンワルトが中心となって畑と醸造を引き継いでいます。
「畑が健康でなければ、美味しいワインは生まれない」
バーンワルトのワイン造りを語るうえで欠かせないのが、土壌への徹底したこだわりです。
2004年から有機栽培へ移行し、その後ビオディナミ農法を本格的に導入。畑には除草剤や化学肥料を使わず、土の中で生きる微生物や植物、昆虫たちが自然な循環を保てる環境づくりを何よりも大切にしています。
健康な土壌で育ったブドウは、果実味だけでなく、土地そのものの個性や空気感まで映し出してくれる。そんな考え方が、バーンワルトのワインの根底にあります。現在ではすべてのワインがEcocertおよびDemeterの認証を受けています。
人の手を加えすぎない醸造
収穫はすべて手摘み。
ブドウは畑で丁寧に選果され、醸造ではブドウにもともと付着している野生酵母によってゆっくりと発酵が進みます。
必要以上の補糖や補酸を行わず、清澄や濾過も最小限。ワインによっては亜硫酸の使用も極力抑え、「ブドウだけでどこまで表現できるか」を追求しています。
特にナチュラルワインのキュヴェは2009年から本格的に取り組み始め、果実の生命力をそのままボトルへ閉じ込めるような、自由で個性的な味わいが世界中のワインファンを魅了しています。
アルザスらしさを、もっと自由に
アルザスといえばリースリングやゲヴュルツトラミネールなどの伝統的な品種が有名ですが、バーンワルトはその魅力を守りながらも、固定観念に縛られません。
アンフォラ(クヴェヴリ)を使った醸造やオレンジワイン、SO₂無添加のキュヴェなど、新しい表現にも積極的に挑戦しています。
しかし、その挑戦は奇抜さを狙ったものではありません。
あくまで主役はブドウと土地。その年、その畑だからこそ生まれる味わいを素直に映し出すための選択なのです。
世界中のナチュラルワインファンから支持される存在
派手な広告や大規模な生産ではなく、一本一本を誠実に造り続けるバーンワルト。
近年では世界中のナチュラルワイン愛好家から高い評価を集め、アルザスを代表する自然派生産者の一人として知られる存在になりました。海外のワインファンからも「訪れる価値のあるドメーヌ」として名前が挙がることが多く、その温かな人柄とワインの品質は高く評価されています。
宮川酒店より
バーンワルトのワインは、一口飲めば派手なインパクトではなく、じんわりと身体に染み込んでくるような心地よさがあります。
果実味、酸、ミネラル、それぞれが無理なく調和し、「自然に造る」という言葉が決して流行ではなく、長年積み重ねてきた哲学であることを感じさせてくれます。
ワインを飲むというより、その土地の風景や季節、畑の空気までも味わうような一本。
ぜひグラスの中から、アルザスの小さな村の景色を感じてみてください。
