落酒造
岡山県北部、中国山地の山あいに位置する真庭市に、落酒造は蔵を構えている。江戸後期の創業とされ、およそ二百年にわたり、この土地で酒造りを続けてきた小さな酒蔵である。山々に囲まれた環境は、酒造りに欠かせない水と米に恵まれ、静かな時間が流れている。
真庭市は寒暖差のある内陸性の気候を持ち、清らかな水系が点在する地域として知られている。落酒造の酒造りも、こうした自然条件のもとで培われてきた。派手さを求めるのではなく、日々の営みの中で土地と向き合いながら、酒と向き合う姿勢が蔵に息づいている。
岡山の酒どころらしく、地元との関わりを大切にしながら、米の個性と水の表情を素直に引き出すことを軸としている。大きな設備に頼らず、少量で丁寧な仕込みを重ねることで、蔵ごとの輪郭を崩さない酒造りが続けられている。
落酒造の酒は、山里の空気を思わせる穏やかさと、芯のある味わいを併せ持つ。飲み進めるほどに、派手ではないが確かな存在感が広がり、土地に根差した酒であることを静かに語りかけてくる。